放射線治療の特徴
がんが発生した部位を切除せずに完治を目指せる治療
エックス線や電子線、ガンマ線を用いて、体の外側や内側からがん細胞の遺伝子にダメージを与えて死滅させる治療法が放射線治療です。
放射線によってがん細胞の周囲の正常細胞もダメージを受けますが、正常細胞はがん細胞と違って自己修復することができます。
切り取ってしまうと生活に不便が出てしまう部位にできた腫瘍を放射線治療によって消滅させることで、QOLの低下を防ぎながら治療が可能です。
放射線治療には根治目的の治療や、手術や抗がん剤治療の補助として、また症状の緩和を目的とした治療の3種類があります。
照射してすぐに出る急性の副作用と、半年から一年以上経過してから出てくる遅発性の副作用があり、遅発性の副作用は機能不全などの重い症状が多くなります。
放射線治療のメリットとデメリット
切除が出来ない腫瘍や大きく成長してしまった腫瘍を縮小させて手術可能にする
放射線は手術の前に照射するのと、手術後に照射をするのとで治療目的が異なります。
手術の前に放射線治療をする目的は主に、切除不能な腫瘍を縮小させて手術可能にすること、また切除可能な腫瘍に対しても切除範囲を縮小させて出来るだけ部位を温存させるために行います。
手術の後に照射するのは、取り残してしまったがん細胞を放射線によって消滅させて再発率を低下させるために行います。
放射線治療の大きなメリットは体を切らずに治療することができるので、患者様の負担が少なく、体の機能が維持できるという点です。
例えば、喉頭がんや声門がんの場合、手術をすると声を失ってしまうというリスクを避けて治療することが可能になります。
前立腺がんの治療でも早期の場合は放射線だけで根治させることが可能であり、性機能の障害などを残さずに治療することが出来ます。
放射線治療の副作用は急性と遅発性の2種類
放射線治療にはメリットばかりではなく、デメリットも存在しています。
その一つが放射線による副作用です。放射線治療の副作用は主に、治療後すぐに発現する急性の放射線障害と、半年から1年以上経過してから発現する遅発性の放射線障害があります。
急性の副作用は皮膚のかゆみや水ぶくれ、頭痛、脱毛、吐き気、疲労感や食欲減退、白血球の減少による感染症のリスクなどがあげられます。
遅発性の副作用は頭部であれば脳組織の壊死や脳梗塞、胸部では肺の線維化による呼吸障害、腹部では腎不全や膀胱炎の慢性化など、血管や細胞の壊死によって機能不全などの障害が起きることがあります。
急性副作用は対症療法がありますが、遅発性の場合だと一度出現すると治すことができないので、発現させないことを目指します。
現在では照射限度を超えないように努力されており、重篤な副作用の発生はまれであるとされてます。
放射線治療によって新たながん細胞が発生する可能性がある
放射線は癌細胞のDNA螺旋を破壊して死滅させていく治療法ですが、放射線を照射する道筋にある正常細胞や、がんの周囲にある細胞もダメージを受けます。
本来なら正常細胞は自己修復の機能が備わっていますが、被爆によってその機能が損傷してしまうと癌化する可能性があります。
これは「2次がん」と呼ばれており、放射線での治療や検査がより便利になっていく中で発生したデメリットの一つと言えます。
CT検査やPET検査などもその原因となり得ますし、放射線治療だけでなく抗がん剤治療によって2次がんが引き起こされる場合もあります。
2次がんの発生は数年後に見つかるケースと、20年、30年経ってから発見されるケースがあり、いつ発症するかの予測は難しいですが、放射線治療を受けたおよそ100人に1人の確率で2次がんが発生するとも言われています。
また、あるデータでは小児がんで放射線治療を受けた患者様のうち、3人に1人が25年以内に2次がんを発症しているという研究結果も出ています。
インフルエンザの予防接種でインフルエンザに掛かってしまうように、早期発見のための検査で2次がんに掛かる可能性も少なからずありますが、がん再発の発見が遅れてしまうよりは定期検診を行なうようにした方が良いでしょう。
確かな放射線治療を受けたいのなら情報収集が必須
放射線治療に限らず、手術や抗がん剤もメリットばかりではありません。市販の風邪薬や定期検診であっても少なからず副作用やデメリットは存在しています。
その中で、いかに自分の生活スタイルに合った治療を受けるかは、患者様自身がしっかりと病気や治療法と向き合って考えなくてはいけません。
しかし医療が進化していく中で、日々新しい治療方法が発見され、そのメリットやデメリットに関してすべてを把握するのはとても困難です。
そういう時は、ぜひ私たちGMSのがん専門医療コーディネーターにご相談下さい。患者様の身体に合った治療方法をご提案させて頂きます。